人の住む 住まいを想う
2009年不況の幕開け!久々の「棟梁の話し」です。
新聞の家庭欄で、こんな記事を見つけた。
「巣づくりの住まい」という中で、衣食住の住は第三の皮膚である。
そして、鳥の巣を例に挙げ、外敵や自然の脅威から生命を守る最適な場所に、泥や藁を運び最適な形の巣を造り、大切な赤ちゃんを産み育む・・・そんな生態が書かれていた。
私が 住まいづくりに関わって約30年。
日本の国中に、良く似た‘早く’‘安く’の住宅が建ち並んだ結果、住宅が引き起こすというシックハウス症が蔓延、家づくりに関わる者は悪者になり、神戸や新潟など各地で地震が家を揺さぶり、木造住宅の安全性が問われ、止めは「姉歯事件」!
建築士の信用は失墜してしまった。
「なんか気持ち ボロボロやぁ~」と落ち込むことしきり。ふと、ご近所(田舎です・・・)の旧家に目を止めると、「ガッチリと頼もしく建っているじゃん!!」
古民家の外壁を捲ると、厚い小舞壁が現れ、瓦の下からは杉板が現れ、天井を捲ると太く立派な梁が「まだまだ大丈夫やで~」と語りかけてくる。
自然にあるものを活用し、ゆっくり丁寧に建てられた家は、雪深く高温多湿の過酷な環境に耐え、漆や柿渋のかかった柱や磨込まれた床は、ひっそりとした輝きを残していた。
二代・三代と家族を育み続けた家は、今脚光を浴びている自然素材だらけ!
その家はちょっと寒かったけど、なんだかホッとする家だった。
一年中室内温度の変わらない家を快適と思うか、四季の匂いを感じ、コタツや簾を楽しみ、燃える炎の色に目で暖かさを感じるくらしに魅力を感じるか 人はそれぞれである。
しかし、冒頭の鳥の巣のように、人の命を守り、大切な赤ちゃんを産み 安心して育てることができる場所が住宅であることを基本とし、提案を続けていきたいと思う。